口の健康のために知っておきたいこと

  患者中心の歯科医療とは

あなたは歯の治療で、歯の神経をとられたことがありませんか?

 歯の神経を取ってしまえば痛くなく治療は終わります。しかし、神経をとった歯は十分な予防処置をしないと時間が経つにつれていろいろなトラブルが起ります。例えば、治療した「詰め物」や被せた「金冠」に再びムシ歯が起っても、神経が無いので痛みのサインはなく、二度目のムシ歯がどんどん広がっていきます。また、神経がない歯の根の先には高い率で「おでき(根尖病巣)」ができます。(図1)
さらに、歯の弾性が次第になくなって脆くなり、普通に噛む力で歯の根が割れて抜かねばならなくなったりします。(図2)
 このように歯の神経を取ると、あなたは何の利益も受けないばかりか、次々とトラブルが起き再治療に無駄な時間とお金を費やし、やがて自分の歯のように噛めない「取り外しの入れ歯」になり生活の質(Quality of Life)はさがってしまいます。

  (図1)
歯の神経を取る時、細菌感染して
歯の根の先に『おでき』ができる。
(図2)
神経を取った歯は脆くなり
普通に咬む力で根が割れる。
  図1 図2

  医師・疾病中心の歯科医療から患者中心の歯科医療へ

 医療技術は日進月歩と言われるのにどうしてこのようなことが起るのでしょうか。根本的な問題として20世紀の医療は「医師/疾患中心(Doctor/Disease Oriented System, DOS)」で進められてきたことがあげられます。すなわち、患者の利益はあまり考えられずに医者の判断と能力に基づいて選択した医療を患者に施してあげるという患者の意志を無視した「医師のための医療行為(医者のパターナリズム)」で進められてきたのです。日本の医療は先進諸外国より遅れること30年、未だに医師/疾患中心(DOS)で進められています。日本の医療保険制度は、歯の神経を残せる場合でも神経を取った方が取らない治療の10倍近い保険点数(収入)があるのです。歯の神経を取った場合のメリットとデメリットの十分な説明のないないまま進められる医療行為は、患者不在の医師/疾患中心の医療(DOS)そのものなのです。これに対し新しい医療概念である「患者中心(Patient/Problem Oriented System, POS)の医療」は、患者の利益を最優先し、少なくとも将来に渡って患者に害を与えないように努力する医療なのです。

  医療従事者は、21世紀こそ患者さんの利益に焦点を当てた、患者さん中心の歯科医療を行う努力をすべきです。


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