口の健康のために知っておきたいこと

  ゼロの医療概念

 昔の歯科治療は歯科用椅子に腰掛けた患者さんを歯科医は立って治療しました。しかし、この姿勢では歯科医の身体に無理が生じ、正確な治療ができません。そこで、日本在住のアメリカ人歯科医のDaryle R. Beach先生は患者さんを水平の治療台にを寝かせ、歯科医は在位で身体に無理がなく正確な診療ができる診療法を考案されました。この水平診療を世界に広められたDaryle R. Beach先生は「医療は人体に加える侵襲的な介入をできるだけ少なくし、生体保全を目的とした医療行為であるべき」とされました。すなわち、人的介入がない健康な状態をゼロとし、健康が損なわれた状態で最大の人的介入のある場合をマイナス1としました。このゼロの概念は歯科のみならず医科にも通ずることから1985年にWHOによって承認され広く知られるようになりました(図1)
 このゼロの概念を歯科に当てはめると次のようになります。歯茎から出ている歯の表面はエナメル質(琺瑯質)といって人間の身体の中で一番硬く殆ど水が含まれていません。このエナメル質だけのムシ歯であれば「歯と接着する材料で詰めて継続管理」をすればムシ歯の再発を殆ど防ぐことが出来ます。エナメル質で被われた歯の中は象牙質と言って水を多く含んだ柔らかい歯なのです。金冠を被せるために歯をどんどん削って象牙質を出してしまうと先述した歯の神経を取らないといけないことが起きてきますし、神経を取らなくても金冠と象牙質のつなぎ目はエナメル質とのつなぎ目程強くないため隙間からムシ歯菌が入り込みムシ歯が再発します。ムシ歯はできるだけ歯を削らないで詰めてもらうことが大切です。歯科医にできるだけ健康な歯を削らないで詰めて欲しいと言って下さい。その一言があなたの歯を守ることに繋がるのです。歯が抜けてブリッジにしなければならない場合は、歯を余り削らないで抜けたところを噛めるようにする「接着ブリッジ(1987年山下が開発した)」と言う治療法がありますから是非歯科医に申し出て健康な歯を削らないで噛めるようになる「接着ブリッジ」で治療してもらって下さい。

  (図1)
  図1


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